さらっとしぼったオレンジを本当に私の脳は求めているのか。

「さらっとしぼったオレンジ」というオレンジ・ジュースを知っていますか。

ダイドードリンコが発売している、1996年から愛され続けてきたロングセラー商品。

これが生産終了になるというニュースをこの間知りました。

ダイドードリンコの定番商品が生産終了となり、ネット上で話題になっています。

90年代に思春期を過ごした私には懐かしい青春の味。

100円で500mlの大容量、しかもさわやかな後味のこの「さらっとしぼったオレンジ」。

お金がない中学生の頃にはずいぶんお世話になりました。

今日はさらっとしぼったオレンジからいろいろ考えさせられた、というお話です。

なんの自販機があったっけ?

中学・高校と部活帰りにごくごく飲んでいた記憶はあるんですが、成人して以降は飲んだ記憶がまったくありません。やはりお酒を飲むようになるとジュース全体から遠ざかりますね。

でも、このニュースを見て「久しぶりにこれ飲みたい・・・」という意識がむくむくと湧き上がってきました。いろいろ調べてみると、メルカリではなんと一個三百円で売られてるらしい。

でも、これって今自販機でしか売ってないんですよね。家の周りにダイドードリンコの自販機は、、、。あったような、なかったような、、、、。

保育園に子どもを迎えに行く道すがら、少しだけ遠回りして近所の自販機をリサーチ。ついでに行っただけですよ、別に暇ではありません(笑)。

ここで私は重大な事実に気づいてしまいました。

毎日のように通る道なので「ここに自販機がある」ということは認識していますが、

どこのメーカーのものなのかはまるで覚えていないということに。

ひどい話、家の目の前にある自販のメーカーも間違えて覚えていました。

これはどういうことなんでしょう?

脳は覚えないという判断を下す場所

記憶は時間軸に沿って分類すると短期記憶(即時記憶)、長期記憶(近時記憶・遠隔記憶)に大きく分けられます。

※記憶の分類について詳しく知りたい方はこちらをどうぞ。

普通にぼーっと自転車で外を移動しているだけでも、実は私たちの脳にはおびただしい量の情報が入力されてきます。

ぐっと単純化した説明になりますが、人間は瞬間的な記憶は前頭葉を中心に行い、その中でもう少し保持しておかないといけない情報が海馬にいったんプールされ、そこからさらに必要性を取捨選択して、「これはずっと覚えておかないと」という情報が長期記憶になるとされています。

つまり私たちの脳はすごい量を記憶しているように思うかもしれませんが、その一方でいらないもの、覚えなくてよいものと判断した情報は忘れるようにできているんです。

毎日のように目にしている、専門的にいうと視覚情報として何度も何度も繰り返し入力されているはずの近所の自販機。

自販機がどこに何台あるのか、という記憶はけっこうしっかりあるんですが、いくら思い出そうとしてもそれぞれの自販機がどのメーカーなのか、思い出せません。

ですから、私はダイドーの自販機にたどりつけません(笑)

これは「家の周りの自販機のメーカーの情報は記憶する必要なし!」と私の脳が判断し、即時記憶の時点でその情報をばっさり切っているからに他なりません。

忘れちゃいけない!と脳に判断させる

この体験を通して、自分の脳の極端さに愛想が尽きた・・・わけではありません(笑)

記憶や情報の処理について考える場合、私たちはどうしてもインプット、覚える力にばかり注目しがちです。

でも実は人間の脳はすごい勢いで忘れる力、もっと言うと、あえて覚えない力を持っているんです。

「忘れる力」についてはこんな記事もあり、とても興味深く読みました。

優秀な人ほど心が疲れやすいといいます。それは、脳の性質がそうさせているのかも……。うまく忘れるようにしていけば、もっと脳の負担を軽くしてあげられるはず。あらゆる研究や識者の言葉をもとに、「記憶力」と「忘却力」、そして「脳の学習能力にある制約」について検証します。 記憶能力が高いと意図的忘却ができない 日本心理学会第72...

これをリハビリテーション的な視点から考えると、訓練で提示した情報(身体の使い方、動かし方など)を、クライアントに定着させるってやっぱり難しいな、というところにたどり着きます。

反復反復である程度のところまでは行くんだけど、ほんとにその人の身に着く、ってレベルに行くには、溢れている情報の中でこれは絶対忘れちゃいけないやつ!とその人の脳に判断してもらわないといけないということ。私の自販機の例のように、いったん必要ないや、って判断になると容赦なく捨てられちゃいますから。それだけ脳の仕分け力って強烈です。

そこを飛び越えて情報を長期記憶に持っていくためには、扁桃体の活動が重要と言われています。扁桃体の活動が伴うと記憶の長期増強が起きやすくなるんですよね。

扁桃体とは情動を司る部位です。

やっぱり、情動を伴わないといけない。運動機能だけ見ててもダメなんですよね。

「こういうことができると楽しい」「このくらい動けると友だちと一緒に外出できるかな?」などと、その人の感情を揺り動かすことができれば、記憶の定着は非常に効率的に進められます。機械じゃなくて人間が相手ですから、最終的には必ずそこにたどりつくんですよね。そういうところはなんというか自然の摂理としてすごく納得できます。

おわりに

結局、ダイドードリンコの自販機は家から100mくらいの交差点の角にあったんですが、すでに「さらっとしぼったオレンジ」の取り扱いはありませんでした。500mlサイズの缶があったであろうスペースはペットボトルの商品に変わっていました。

オレンジジュースは飲めなかったけど、私の脳もしっかり情報の取捨選択が機能しているんだな、と認識できました。

その分大事なことをしっかり覚えられているかどうかは自信がありませんが(笑)

ちなみに、さらっとしぼったオレンジなき後、ダイドードリンコの自販で買えるオススメは「梅よろし」です。ぜひ一度お試しを。

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